コンバージョン

商都 松本の象徴を現代に活かす

松本丸の内ホテル。昭和12 年に建設された旧第一勧業銀行建物がホテル・レストラン・結婚式場に生まれ変わりました。保存運動により解体を免れ、2007 年10 月に「登録有形文化財」に認定された石造り風のレトロでクラシックな建物です。雰囲気はそのままに内部には現代的な機能を付加し、商都として歩んできた歴史と景観を次の世代に伝えると共に、現代においても自立自存しています。

1937 年(昭和12 年)日本勧業銀行として建築され2003 年(平成15 年)8 月まで、みずほ銀行松本大名町支店として営業してきました。石造りを模した外壁と尖頭アーチが特徴の重厚な建物は、蚕糸業で日本経済を牽引した往時を偲ばせ、今なお松本平に生きる人々に誇りと自信を与えてくれます。

2003 年 8 月
みずほ銀行松本大名町支店と松本支店の統合により、銀行としての役目を終える。積和不動産中部のマンション計画が浮上し、その場合は解体となる。「旧勧銀ビルを守る市民の会」が結成され募金活動と共に市行政、企業・篤志家へ再活用の陳情や提案依頼を行うが、マンション案に対抗できるまでに至らない。
2003 年 12 月
建物裏の駐車場にホテル客室棟を増築し旧勧銀ビルをホテルのロビー・レストランとして保存活用する案を、大名町会の推薦を頂きファンド会社レイコフと倉橋事務所の連名でみずほ銀行本店に提出。みずほ銀行からは「マンション案で進んでいる」・・・とき遅しダメかもしれない

2006 年 1 月
旧勧銀ビルを守る市民の会が松本歯科大にセミナーホールとしての活用を要請するが具体案とならず。
2006 年 4 月
みずほ銀行より「ホテル案を推す」との話しを頂き設計に着手。
2006 年 6 月
地元出身篤志家がコンサートホールを兼ねたレストラン案を提案。市民集会を3 回開催
2006 年 9 月
みずほ銀行はホテル案を選び、レイコフと土地建物の売却契約を結ぶ。地元説明会を3 回開催
2007 年 3 月
松本大名町ホテル新築工事 設計完了
2007 年 5 月
工事着手
2007 年 10 月
登録有形文化財へ登録
2008 年 2 月
建物竣工

新築のホテル棟はアーチ窓を一部に使いながら、商家本宅の奥に控える蔵をイメージさせる漆喰調の外壁や窓枠等の建物要素で構成し、旧松本城三の丸である大名町のまち並み景観の向上に努めています。旧勧銀ビルは登録有形文化財に登録しながら、耐震診断・耐震補強を行っています。内観は建設当時の左官職人による柱・梁・天井の躯体に直接施された草木をモチーフとした鏝絵の装飾を活かしながら、現代生活では必須の冷暖房空調設備やレストラン・結婚式場の演出に欠かせない照明器具等の配線を違和感なく納めています。

       レストラン棟      ホテル棟
       (旧勧銀ビル)
構 造    RC造 一部鉄骨造    RC造
階 数    3 階 地下1 階     8階 PH 1 階
延べ床面積  1,269.63 ㎡       4,076.60 ㎡
竣工年月   2018 年5 月
工 期    10 ケ月
総合・意匠設計:株式会社 倉橋建築計画事務所
構造設計:株式会社 増田建築構造設計事務所
設備設計:有限会社 ライフ設計
内装設計:株式会社 イリア
施  工:株式会社 守谷商会

PAGE TOP